【第14回】どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2 (4/26~5/9)

今週の一冊

わたしも、若いころは「がんばった人が、がんばっただけ報われる社会」というものに特に疑問も抱かず、あたりまえのことと思っていました。仮に、生まれながらの貧富の格差があったところで、それを言い訳にせず、がんばって成功している人たちもたくさんいるわけで、逆に、富裕層の子どもに生まれてもどうしようもない人たちもいっぱいいるわけだから、甘ったれた考えでなく、厳しい社会で生きていけるかどうかは自己責任、自分の力で何とでもなると思っていました。

うまくいかない理由を、格差などに求めるのは、むしろ逃げであって、努力さえすれば、だれもが成功できる社会が資本主義社会と思っていました。

当時のその考えを全面的に否定するつもりはないのですが、人間は多様性で、必ずしも自分が思っていることが正しいわけではなく、生物学的にもがんばっても報われない、そもそもがんばれないケースがあるということを、恥ずかしながら40歳を超えて心から気づいた気がしました。

人間も所詮、動物です。個体差もあります。マンガやドラマではなく、現実の社会では、がんばれという言葉自体が虚しさをもって聞こえる場面も多々あります。

そうであるからこそ、機会の平等だけではなく、結果の平等も同じくらい必要なことなのではないかと思います。

いろいろな環境や、生まれながらの性質、性格など、この世の目を背けてはいけない、本当の意味でのリアルを知るうえでも機会があれば一読してもらいたい著書です。

当たり前ですが、人間は平等ではない、想像以上に不平等に生まれている現実をまざまざと知ることになる名著だと思います。

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