【第4回】アトポス(2/15~2/21)~人類に問う問題作~

今週の一冊

島田荘司先生と言えば、本格ミステリーを代表する作家というイメージが思い浮かぶと思います。御手洗潔シリーズに夢中になった方も多いのではないでしょうか。

本格ミステリー=トリックに傾斜しがちで、人物が描けていないという批判もありますが、島田荘司先生の作品は、読後感も含め、余韻に浸れるほど、しっかりと描かれていると思います。

確かに、本格ミステリーがブームになったとき、「こんなトリック思いつきました」的な作品を発表する作家さんもいたと思います。

ミステリー小説家に限らず、芸術に携わる人のなかには、自分が亡くなった後も、後世に読み継がれるような作品を残したいと考える方と、そうは思わない方がいます。

後世に語り継がれるような作品にするためには、内容が普遍的なものである必要があります。一方で、読者の中には、この作家さんと同じ時代を共有できていることに感動を覚えられる方もいます。

同時代を生きていることを感じてもらうには、いま、この瞬間の社会問題やテーマを取り上げることが求められることがあります。

島田荘司先生の作品には、このような社会問題が含まれていることがあります。とても分厚い本が多く、読むのに一苦労しそうですが、意外と一気に読めたりします。それは、テーマがいまを生きてる人々にすーっと入ってくるからではないかと思います。

もし、本格ミステリーを読んだことがない方には、「アトポス」という本をお薦めします。おどろおどろしさもあり、作品にのめりこめると思います。

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